恋メモ
学際のお仕事は基本夜の8時まで。
ここ数日は全体の仕事ではなく、広報のお仕事に専念している。
理由はもちろん、お目当ては学際のお仕事なんかじゃないから。
好きな人と同じ部屋で二人きり。おしゃべりしながら仕事をするのは楽しい。
私は止まることなくしゃべり続けてるから、お前と一緒にいると仕事が進まないよ。なんて言われちゃったりして。
広報の仕事をしているといっても、やっぱり学際全体の会議には出なきゃいけないらしい。
その人はいつも、私たちが帰ったあと会議に出ている。
時間にして約2時間。ここのところ長すぎるから1時間くらいで終わるようにしているらしい。
先に帰った私は駅のホームの椅子に座って本を取り出す。
待つこと1時間。その子が大慌てでホームに入ってきた。理由は1つ電車が出発するところだったから。
ほんとはそこで声をかけるつもりだったけど、電車が出ちゃうんじゃしょうがない。
同じ車両に乗る時間的余裕はなかったから隣の車両に乗り込んだ。
いざ、その人がいる車両に入ろうとして、ふと立ち止まった。
なんて声をかけようか?
なんてことを考えながら少しうろうろ。
数秒考えてから意を決して踵を返し、扉を開ける。
ぱっと辺りを見渡すと、その人は下を向いて携帯をいじってた。
気づかれないように近づき、そっと肩を叩く。
「一人寂しく帰るより、二人で帰るほうが楽しいよ。」